東京都国立市 アイリス法務行政書士事務所の加藤貴世です。
今回は、「遺言トラブルを防止するために気をつける6つのこと」~前編~です。
身近になった遺言
遺言は、以前に比べて身近なものになってきました。
20年ほど前は「遺言」というと暗いイメージがありましたが、近頃は「エンディングノート」や「終活」といった人生の終期を前向きにとらえる風潮が出てきました。テレビ番組の中で遺言や相続トラブルを扱っていたり、雑誌の特集に組まれることも珍しくなくなりました。
その影響でしょうか、公証役場で遺言公正証書を作成する件数も増加してきています。
平成21年は77,878件だったのが、平成30年には、110,471件と32,000件以上増加しています。
これは、遺言書を作成する重要性に気づいた方が多いことを示しています。
遺言書があれば安心?
しかし、遺言書があれば安心!というわけにはいかないのです。
遺言書に記載されている内容が無効の場合もありますし、
形式が整っておらずに無効となる場合もあります。
また、遺言書の内容により、相続人間で争いが起こることもあるのです。
そう考えると、遺言書作成は、慎重に、よく考えて取り組まなければなりません。
そこで、遺言トラブルを防止するために気をつける6つのことを挙げました。
今回はその一つをご紹介します。(次回、その他の5つをご紹介します。)
遺言トラブルを防止するために気をつける6つのこと
① 遺留分には気を付けましょう。
遺言者は、自分の財産を遺言によって自由に処分することができるのが原則です。しかし、一方で、近親者の相続に対する期待を保護し、生活を保障する必要もあります。民法では、相続財産の一部分を一定範囲の遺族(兄弟姉妹以外の相続人)のために留保する制度を定めています。これが遺留分です。遺言書を作成する際には、後々のトラブルを防止するためにも、遺留分を念頭に置いて作成するのが良いでしょう。遺留分を侵害した内容の遺言である場合には、遺留分を侵害された兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分を主張することができます。そうなると、相続手続きも長期間にわたってしまいます。
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