契約を味方につけて、安心で豊かな毎日を
- 加藤貴世

- 10月9日
- 読了時間: 5分
多くの方は、「契約」に関して、難しい・面倒・自分には関係ないというようなネガティブなイメージを持っていませんか?
契約は正しく理解し、意識を少し変えるだけで、私たちの生活を守り、人生の安心感を高めてくれる強力なツールになります。
契約は「特別なこと」ではなく「毎日のこと」
「契約」と聞いて、ハンコを押す分厚い書類や、大企業同士の難しい取引を思い浮かべるかも知れません。しかし、実際に私たちは、意識しないままに多くの契約を結びながら、毎日の生活を送っています。
• 朝、コンビニでコーヒーを買う(代金を支払う売買契約)。
• 電車に乗り、アプリをダウンロードする(運送契約、利用規約への同意)。
• パートやアルバイトで働く(雇用契約)。
• ジムの月会費を支払う(継続的なサービス提供契約)。
これらがすべて「契約」です。契約とは、私たちお互いの約束を法的に保証し、それぞれの権利と義務を明確にする仕組みのこと。私たちの日常生活は契約で成り立っているとも言えます。
知っておきたい!日常生活の「契約」の基本
契約を味方にするための始まりは、その基本を知ることです。
その① 契約とは「権利と義務のセット」
契約が成立すると、私たちには「権利」(例:購入した商品を受け取る権利、サービスを受ける権利)が生まれ、同時に「義務」(例:代金を支払う義務、ルールを守る義務)が生じます。このバランスこそ、私たちの生活の安心感を支えている土台なのです。
その② 成立のタイミング:書面は必須ではない
多くの方が誤解していますが、契約は必ずしも書面で取り交わす必要はありません。口頭での約束でも、双方が合意すれば契約は成立します。
特に注意したいのは、オンラインでの「同意する」ボタンのクリックです。規約を読まずにクリックしたとしても、法的には契約内容に同意したものとみなされます。
その③契約自由の原則
私たちは、誰と、どのような内容の契約を結ぶかを自由に決めることができます。これが「契約自由の原則」です。メリットは、自分にとって不要な契約は断る自由があることです。しかし、一度結んだ契約は、原則として簡単に「やっぱりやめた」とは言えない点に注意が必要です。
【要チェック!】生活の質を決める「契約」で気を付けること
特に、日常生活へ大きな影響を与える身近な契約では、以下の点に注目してください。
不動産(賃貸)の場合
退去時のルール(敷金がいくら戻ってくる条件、修繕費の負担)、更新料の有無、ペットなどの特記事項。
サブスク・定期購入の場合
自動更新の設定(いつ、いくらで更新されるか)、解約方法と期限(電話のみか、オンラインで可能か)。
高価なサービス(エステ、語学、ジム)の場合
中途解約のルール(返金される額の計算方法)、クーリング・オフの適用期間と方法。
デジタル時代のトラブル予防
サブスクリプションやアプリ利用など、デジタルの契約では特に「解約のしやすさ」が重要です。解約したいのに解約ボタンが見つからない、担当窓口に電話が繋がらないなどのストレスは、生活の質を大きく下げる原因となるので、事前に注意が必要です。
契約を「味方」にするための3つのマインドセット
契約と上手に付き合って、安心感と納得感のある毎日のために提案したい3つの姿勢があります。
その①「もしも」を考える「想像力」を持つ
契約書を読む時、「もしもトラブルになったら」「途中で契約をやめたくなったら」という未来の「もしも」を想像してみてください。
• 体調を崩して、ジムに通えなくなったら?
• 会社を辞めて収入がなくなったら?
この「もしも」の際、契約書や規約にどんなことが書いてあるかを重点的に探すのです。
その②「権利意識」を持つ
「規約が長いから」「店員さんが忙しいから」と、不明点を質問しないのは損です。
契約内容について納得できるまで質問するのは私たちの当然の権利です。そして、契約書や規約を読んでいないという事実は、トラブル発生時に「知らなかった」という言い訳にはできません。
その③「感情」と「事実」を切り分けて「冷静さ」を持つ
営業は、私たちの「不安」や「こうなりたい」という「感情」に訴えかけてきます。しかし、契約は「事実」で結びます。
契約書に何が書いてあるかという事実に焦点をあて、その場の雰囲気や担当者の人柄と、これから取り交わす契約内容を完全に切り離して冷静に判断しましょう。
「今すぐ決めないと損ですよ!」といった即断を促す言葉には流されないように。
一旦、契約締結を保留することも視野に入れて検討しても良いかもしれません。
契約を知ることは「自分を守り、人生をコントロールすること」
契約を知ることは、自分自身の将来の選択を守り、自分の人生をコントロールするための知恵です。
「難しいそうだから」と思わず、今日から少しだけ、契約書や規約の「解約やキャンセル」に関する部分だけでも意識して読んでみてください。その小さな一歩が、あなたの生活をより豊かで安心できるものに変えてくれるはずです。
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