改正民事執行法~養育費の視点から~

東京都国立市 アイリス法務行政書士事務所の加藤貴世です。

24%


これは、養育費を得ている母子家庭の割合です。(2016)

親は子どもを育てなければなりません。

親の責任の取り方次第で、子どもの将来まで変わってしまいます。


この状況を改善するために、民事執行法が改正され、令和2年4月1日に施行されました。


今までと、何が変わったのでしょうか?


【改正民事執行法~養育費の視点から~】


① 強制執行認諾文言付きの公正証書でも財産開示手続きが利用可能になりました。


改正前までは、確定判決、家事審判書、家事調停調書等がある場合にだけ、裁判所が相手の財産状況を調査する財産開示手続きを利用することができました。今回の改正により、公正証書でも財産開示手続きの申立てができるようになりました。

改正民事執行法施行前(令和2年4月1日より前)に作成した公正証書でも財産開示手続きを利用することができます。



② 「第3者からの情報取得手続」が行えるようになりました。


元配偶者の勤務先が分からなくなっても、養育費が取り決められている公正証書や調停調書、判決があれば、裁判所を通して、年金事務所や市区町村に照会することが可能になりました。

年金事務所には、厚生年金徴収のためのデータがあり、また市区町村には、住民税の源泉徴収のためのデータがあります。それにより、元配偶者の給料の支給者(勤務先等)が確認できます。

さらに、裁判所が不動産情報について登記所に問い合わせた場合も同様に、情報を提供してもらえます。(不動産に関しては、施行日未定。)

気を付けなければならないことは、「第3者からの情報取得手続き」の申立ての前に、「財産開示手続き」を行っている必要がある点です。


③ 「第3者からの情報取得手続き」のうち、預貯金・金融資産の情報提供について。


いままでは 強制執行の際に、申立人側が金融機関と支店名まで特定していなければなりませんでした。記憶が曖昧だったり、預貯金を隠されてしまった場合には、差し押さえができないというケースもありました。

今回の改正で、裁判所が金融機関の本店に情報提供命令を出すと、元配偶者の預貯金の有無から、預けている支店名、預貯金の種類、預貯金の残高まで情報を提供してもらうことができるようになりました。

また、金融資産(株式、投資信託、社債)についても、証券保管振替機構に裁判所が照会すると、元配偶者の情報を提供してくれます。


この制度は、財産開示手続きを行っていなくても、申立てをすることができます。

しかし、相手の財産を全く把握できていない場合や、把握している財産について強制執行をしても全額が支払われないような場合に、財産調査結果報告書によって裁判所に説明する必要があります。また、改正前と同様に、元配偶者の取引銀行をある程度特定しなければならないので、注意が必要です。



④ 罰則が厳しくなりました


今までは、裁判所から財産開示命令や履行命令に従わなかった場合、虚偽の報告をした場合には、30万円以下の過料が科せられていました。これは行政罰の一つで、非常に軽い罰則でした。

改正により、「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」の刑事罰が科されます。50万円を支払うか、懲役刑ということになり、前科がつきます。


【養育費請求権の消滅時効について】

家庭裁判所の審判や調停により養育費を取り決めた場合は、10年です。

話し合いで取り決めた場合、公正証書で取り決めた場合は、5年です。

離婚後に改めて調停をして、養育費を取り決めることもできます。


【この制度の注意点】

① 生命保険の解約返戻金は、情報提供の対象外です。

② この制度を利用するには、強制執行認諾文言付きの公正証書、調停調書、判決などの公的な書面が必要です。

③ 元配偶者の行方が分からないときは、この制度を利用することはできません。

改正後も、強制執行に数万円単位の費用がかかることに変わりはありません。

調停調書や判決等は、裁判所からの履行勧告や履行命令といった制度を利用して支払いを促すことはできますが、公正証書では、それらを利用することはできません。

しかし、強制執行の手続きという点では、以前と比べて大きく改善されました。



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