養育費について
養育費取り決めの実態は
厚生労働省の調査(平成28年度)によりますと、母子家庭の42.9%が養育費の取り決めをしています。父子家庭では、20.8%が養育費の取り決めをしています。
裏返すと、5割以上の母子家庭が、8割の父子家庭が、離婚の際に養育費を取り決めていないのです。
理由は、「相手と関わりたくない。」が一番多く、次に「相手に支払いの意思がないと思った。」「相手に支払いの能力がないと思った。」などです。
父子家庭では、「相手に支払う能力がないと思った。」が一番多く、次に「相手と関わりたくない。」となっています。
現実に養育費を受け取っている割合は?
同じく厚生労働省の調査(平成28年度)によりますと、離婚した父親からの養育費需給状況は24.3%が「現在も受けている。」。離婚した母親からの養育費受給状況は、3.2%が「現在も受けている。」となっています。
現在は子どもの貧困が問題となっています。子どもの7人に1人は貧困に苦しんでいるという統計もあります。すべての子どもに、貧困を気にせず、伸び伸びと楽しく遊び学べる環境が与えられて欲しいと思います。そのためにも、養育費はとても大切なものなのです。
養育費の支払い義務
未成年の子に対する扶養義務は、生活保持義務と考えられています。
生活保持義務とは、子に対し親は、自分と同程度の生活を保障しなければならないという扶養義務です。
ですから、養育費の額は低すぎても義務を果たせませんし、子どもと面会していないからと言って、養育費支払いの支払いが免れるわけでもありません。
経済的余力がない場合は、養育費支払いが免れるのか?
やむを得ない事情で自分の生活を維持することも難しい場合は、養育費支払い義務を免れる場合もあるでしょうが、原則は、借金を抱えているという理由だけで、安易に養育費支払い義務を免れるものではないと考えられています。
養育費支払い請求に対する、ある判決文では、扶養義務者が失業している場合であっても、「Aの新たな就職先を探す努力の程度内容、状況如何によっては、Aの潜在的労働能力を前提にして、本件養育費を算定することの可否及び当否をも検討すべきである。」と摘示しています。
取り決めた養育費を確実に受け取るために
話し合いで決まった養育費に関する事項は、離婚協議書に記載します。
下記の事項まで協議書に記載できると安心です。
・支払期日(例 毎月25日限り、毎月末限りなど)
・支払金額(例 5万円)
・支払口座(例 金融機関名、支店名、口座番号、口座名義)
・高校・短大・大学・大学院などの進学準備や入学した時に発生する臨時的な費用について。
・子どもが怪我や病気をして入院・手術などをした時などの特別な出費をしたときの対応について。
・養育費が支払われなかった場合、強制執行により支払い実行することを約束。
・養育費を振込みの際の振込手数料の扱いについて。
養育費を取り決めたら、確実に受け取れるよう公証役場で公正証書にしましょう。
公正証書にするメリットは、万が一養育費が滞った場合には、強制執行を行うことができます。また、強制執行認諾条項付きの公正証書を作成することで、支払う側が何が何でも養育費を支払おうという責任を感じる傾向にあるようです。
養育費の時効はあるのか?
養育費の時効は、離婚協議書での取り決めや公正証書を作成した場合、養育費の時効は5年です。
裁判による判決、和解調書、調停調書など裁判所が関与し確定した権利である場合は、時効は10年です。
養育費の取り決めは、離婚前にしなければならないのか?
子どもを育てることは、まさに現在進行形。
離婚前に養育費の話し合いをしなかったからと言って、離婚後に元配偶者に請求することはできない、なんてことはありません。離婚の際に取り決めができなくても、離婚後も取り決めはできます。
しかし、時間が経てば経つほど、元配偶者が話し合いに応じてくれなかったり、居場所が分からなくなる可能性があり、その場合は養育費をもらえなくなることもあり得ます。
必ず離婚前に話し合って取り決めをし、公正証書にしましょう。
離婚後の話し合いで取り決めた養育費でも、公正証書にすることができます。
お問い合わせ
アイリス法務行政書士事務所にとって、お客様のご満足が第一です。
ご質問、ご相談など、皆様からのご連絡をお待ちしております。
ぜひお気軽にお問い合せください。
※メール無料相談をご利用の際は、メッセージ欄に【無料相談メール】とご入力ください。